量子物性理論研究グループ

主宰者

主宰者名 古崎 昭 Akira Furusaki
学位 博士(理学)
役職 グループディレクター
略歴
1991 東京大学工学部物理工学科 助手
1993 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 博士学位取得
1993 米国 マサチューセッツ工科大学 博士研究員
1995 東京大学大学院工学系研究科 助手
1996 京都大学基礎物理学研究所 助教授
2003 理化学研究所 古崎物性理論研究室 主任研究員 (現職)
2013 同 創発物性科学研究センター 強相関物理部門 量子物性理論研究チーム チームリーダー
2024 同 創発物性科学研究センター 量子物性理論研究グループ グループディレクター(現職)
2024 同 創発物性科学研究センター 副センター長(現職)

研究室概要

当グループは、強い電子相関や量子性の効果によって固体中の多電子系が低温で示す様々な量子相を探究し、その相に特徴的な輸送現象や磁性などの電子物性や相転移の臨界現象に関する理論的研究を行っている。具体的には、トポロジカル絶縁体やトポロジカル超伝導体などのトポロジカル物質や、フラストレート量子磁性体、遷移金属酸化物や分子性導体の強相関電子系を主な研究対象としている。個々の物質の電子状態の特徴をとらえた理論模型を構築し、その模型の量子統計力学を場の理論などの解析的手法やモンテカルロ法などの計算物理的手法を併用して解くことにより、物質中の電子系が創発する多彩な相を明らかにすることを目指している。

研究分野

物理学、材料科学

キーワード

電子相関
フラストレート磁性体
トポロジカル絶縁体
トポロジカル超伝導

研究紹介

トポロジカル絶縁体とトポロジカル超伝導体を分類する

現代のITを支えるエレクトロニクスは、固体中の電子の量子力学的な運動を記述するバンド理論に基づいている。バンド理論によって金属・絶縁体・半導体の物性が説明され、トランジスタの発明につながった。ところが、これまでのバンド理論では見逃されてきた重要な物理が、21世紀に入って新たに見つかった。電子波動関数が運動量空間で非自明なトポロジーをもつことによって生じる、トポロジカル絶縁体がそれである。さらに、準粒子励起にエネルギーギャップが存在する超伝導体にも、同様にトポロジカル超伝導体というものが存在する。トポロジカル絶縁体やトポロジカル超伝導体には様々な種類があることが知られている。

我々は、対称性にもとづいてトポロジカル絶縁体・超伝導体を分類する一般論を構築し、各空間次元で整数のトポロジカル数で分類されるトポロジカル絶縁体・超伝導体が3種類存在し、2値のトポロジカル数で分類されるトポロジカル絶縁体・超伝導体が2種類存在することを明らかにした。さらに、これらのトポロジカル絶縁体・超伝導体に対して、結晶格子のもつ対称性や電子間相互作用の効果を研究している。

 

連続変形で互いに移り変われるマグカップとドーナッツはトポロジー的には同じ形である。絶縁体中の電子の波動関数はトポロジーによって分類できる。

メンバー一覧

古崎 昭 Akira Furusaki

グループディレクター furusaki[at]riken.jp

桃井 勉 Tsutomu Momoi

専任研究員

小野田 繁樹 Shigeki Onoda

専任研究員

妹尾 仁嗣 Hitoshi Seo

専任研究員

小林 伸吾 Shingo Kobayashi

研究員

田中 悠太朗 Yutaro Tanaka

基礎科学特別研究員

北山 圭亮 Keisuke Kitayama

特別研究員

Moritz Mandes Hirschmann

訪問研究員

Lingzhi Zhang

大学院生リサーチ・アソシエイト

主要論文

  1. K. Yoshimi, T. Misawa, T. Tsumuraya, and H. Seo

    Comprehensive Ab Initio Investigation of the Phase Diagram of Quasi-One-Dimensional Molecular Solids

    Phys. Rev. Lett. 131, 036401 (2024)
  2. M. Naka, Y. Motome, and H. Seo

    Anomalous Hall effect in antiferromagnetic perovskites

    Phys. Rev. B 106, 195149 (2022)
  3. Y. Yao, M. Oshikawa, and A. Furusaki

    Gappability Index for Quantum Many-Body Systems

    Phys. Rev. Lett. 129, 017204 (2022)
  4. S. Kobayashi, and A. Furusaki

    Fragile topological insulators protected by rotation symmetry without spin-orbit coupling

    Phys. Rev. B 104, 195114 (2021)

研究紹介記事