研究目標

創発物性科学によって革新的なエネルギー機能を生み出し、人類の未来社会に貢献します。

創発物性科学研究センターのミッションは2つあります。

1つ目は、超高効率なエネルギーの収集・変換を実現することです。化石燃料を使わずに電力を得る太陽光発電などが注目されていますが、エネルギー変換効率の向上が課題です。超分子機能化学によって分子の配置を制御することで、変換効率を大幅に向上させた有機太陽電池を作るなど、エネルギー問題の解決につながる材料の創出を目指しています。また、強相関物理学では、固体中の強く絡み合っている多数の電子を制御することで、熱と電気を相互に高効率で変換する技術を実現しようとしています。

現在、第3のエネルギー革命が起きていると考えられます。第1の革命は化石燃料の燃焼による蒸気エネルギーの利用、第2の革命は核エネルギーの利用です。創発物性科学研究センターは、固体中の電子集団がつくり出す機能を利用することで、第3のエネルギー革命を先導します。

2つ目のミッションは、超低エネルギー消費のエレクトロニクスを実現することです。現在の情報処理には大量のエネルギーが必要です。強相関電子系では、わずかな電気刺激によって瞬時に金属状態と絶縁体状態が切り変わるという特性があります。こうした強相関電子系の現象を利用すると、消費電力がとても小さいメモリや回路が実現できます。また、量子情報エレクトロニクスによって量子コンピュータが実現すれば、消費エネルギーを大幅に減らすだけでなく、複雑で大量の情報を安全に高速に処理することが可能になります。

創発物性科学研究センターは、物理学・化学・エレクトロニクスの3分野の連携によって、この2つのミッションを達成し、環境調和型の持続可能な社会を実現に貢献します。