創発機能磁性材料研究ユニット

主宰者

主宰者名 軽部 皓介 Kosuke Karube
役職 ユニットリーダー
HP https://researchmap.jp/karube/
略歴
2015 京都大学理学研究科 博士課程修了
2015 理化学研究所 創発物性科学研究センター 強相関物質研究グループ 特別研究員
2019 同 研究員
2023 同 上級研究員
2023 理化学研究所 創発物性科学研究センター 統合物性科学研究プログラム 創発機能磁性材料研究ユニット ユニットリーダー(現職)

研究室概要

当ユニットは、物質合成を軸として、トポロジカル機能や高性能磁気機能を持つ磁性材料の新規開拓を行う。具体的には、金属間化合物、酸化物等におけるトポロジカル磁性材料や強磁性・反強磁性材料などの物質開拓を行い、磁気測定、走査型プローブ顕微鏡、中性子散乱など様々な測定手法により、その磁気構造やトポロジカル物性・機能を明らかにする。

研究分野

物理学/材料科学/工学

キーワード

強相関電子系
トポロジカル磁性

研究紹介

室温アンチスキルミオンの物質開拓

スキルミオンはトポロジカルに保護された渦状の磁気構造体であり、スピントロニクスへの応用が期待されている。一方、アンチスキルミオンは、スキルミオンと逆符号のトポロジカル数を持つ反渦型のトポロジカル磁気構造体である。アンチスキルミオンはD2dまたはS4対称性の結晶構造を持つ磁性体で発現すると予想されていたが、これまでに発見されている物質はD2d対称性のホイスラー合金のみであった。我々は、S4対称性の結晶構造を持つ室温強磁性体(Fe,Ni)3Pに着目し、系統的な物質合成と磁気測定を行った結果、4d遷移元素をドープすることで磁気異方性が劇的に変化することを見出した。特にPdをドープすると磁気異方性が容易面型から容易軸型に変化し、(Fe0.63Ni0.30Pd0.07)3Pにおいて室温以上でアンチスキルミオンが発現することを発見した。

(a) アンチスキルミオンの磁気構造の模式図。 (b) M3P (M: 遷移金属) のS4対称性を持つ結晶構造の模式図。 (c) 4d遷移金属をドープした (Fe,Ni)3Pの様々な組成に対する磁気異方性エネルギーの温度依存性。

メンバー一覧

軽部 皓介 Kosuke Karube ユニットリーダー kosuke.karube[at]riken.jp

主要論文

  1. K. Karube, V. Ukleev, F. Kagawa, Y. Tokura, Y. Taguchi, and J. S. White

    Unveiling the anisotronic fractal magnetic domain structure in bulk crystals of antiskyrmion host (FeNiPd)3P by small-angle neutron scattering

    J. Appl. Crystallogr. 55, 1392-1400 (2022)
  2. K. Karube, L. Peng, J. Masell, M. Hemmida, H.-A. K. von Nidda, I. Kezsmarki, X. Yu, Y. Tokura, and Y. Taguchi

    Doping Control of Magnetic Anisotropy for Stable Antiskyrmion Formation in Schreibersite (FeNi)3P with S4 symmetry

    Adv. Mater. 34, 2108770 (2022)
  3. K. Karube, L. C. Peng, J. Masell, X. Z. Yu, F. Kagawa, Y. Tokura, and Y. Taguchi

    Room-temperature antiskyrmions and sawtooth surface textures in a non-centrosymmetric magnet with S4 symmetry

    Nat. Mater. 20, 335 (2021)
  4. K. Karube, J. S. White, V. Ukleev, C. D. Dewhurst, R. Cubitt, A. Kikkawa, Y. Tokunaga, H. M. Ronnow, Y. Tokura, and Y. Taguchi

    Metastable skyrmion lattices governed by magnetic disorder and anisotropy in beta-Mn-type chiral magnets

    Phys. Rev. B 102, 064408 (2020)
  5. K. Karube, J. S. White, N. Reynolds, J. L. Gavilano, H. Oike, A. Kikkawa, F. Kagawa, Y. Tokunaga, H. M. Ronnow, Y. Tokura, and Y. Taguchi

    Robust metastable skyrmions and their triangular-square lattice structural transition in a high-temperature chiral magnet

    Nat. Mater. 15, 1237 (2016)

お問い合わせ

〒351-0198

埼玉県和光市広沢2-1

E-mail:
kosuke.karube[at]riken.jp

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