創発分子機能研究チーム

主宰者

主宰者名 瀧宮 和男 Kazuo Takimiya
学位 博士(工学)
役職 チームリーダー
略歴
1994 広島大学大学院工学研究科工業化学専攻 博士課程後期修了
1994 広島大学工学部第三類(化学系) 助手
1997 デンマーク オーデンセ大学化学科 博士研究員
2003 広島大学大学院工学研究科物質化学システム専攻 助教授
2007 同 教授
2010 広島大学大学院工学研究院物質化学工学部門(応用化学) 教授
2012 理化学研究所 創発分子機能研究チーム チームリーダー
2013 同 創発物性科学研究センター 超分子機能化学部門 創発分子機能研究グループ グループディレクター
2017 東北大学大学院理学研究科化学専攻 教授 (現職)
2018 理化学研究所 創発物性科学研究センター 創発分子機能研究チーム チームリーダー (現職)

研究室概要

我々は合成化学を駆使することで、新しい機能性有機電子材料(有機半導体)の開発と応用を目指している。有機半導体の特徴は、「分子構造・電子状態を自在に設計・合成できる」ことであり、電子デバイス(トランジスタ、太陽電池、熱電変換素子など)に応用可能な機能性材料を集積化することで、スイッチング、光電変換特性の高機能化が可能である。最近では、独自に開発した分子骨格の応用により、高性能低分子有機半導体の開発と高移動度有機トランジスタの実現、新規非フラーレンアクセプタ分子の開発と高性能太陽電池への展開、また、有機半導体分子の結晶構造制御法の開発によるキャリア移動度の改善などの成果を挙げている。

研究分野

化学、工学、材料科学

キーワード

有機半導体
π電子系化合物
合成化学
有機電界効果トランジスタ
有機薄膜太陽電池
有機熱電材料

研究紹介

有機半導体の結晶構造制御による高移動度化

有機半導体の特性は分子レベルでの電子構造だけでなく、分子集合体中での配列や配向に大きく影響を受ける。しかし、分子設計の段階で結晶構造を予測し制御することは非常に困難であり、有機半導体の結晶構造制御のための方法論や手法の開発は重要な課題である。我々は、メチルチオ基などの単純な置換基を有機半導体骨格の適切な位置に導入し分子間相互作用を制御することで、高移動化に適した結晶構造に導くことが可能であることを見出している。例えば、sandwich herringbone型に結晶化するピレンに4個のメチルチオ基を位置選択的に導入すると、brickwork(レンガ塀)型構造へと劇的に結晶構造が変化し、二次元的な伝導経路を形成できることを見出した。単結晶トランジスタにより電荷移動度を評価したところ、30 cm2 V-1 s-1を超える移動度を示し、有機半導体としては最高レベルの電荷輸送能を持つことが明らかとなった。

図

有機半導体の結晶構造制御による高移動度化

 

チエノアセン系有機半導体の結晶構造制御

有機半導体の特性は分子レベルでの電子構造だけでなく、分子集合体中での配列や配向に大きく影響を受ける。しかし、一般に分子設計の段階で結晶構造を予測したり制御することは非常に困難であり、有機半導体の結晶構造制御のための方法論や手法の開発は重要な課題である。最も高い移動度を与える有機半導体としてルブレンが知られているが、その結晶構造は特異なpitched-πstack構造と呼ばれるものであり、これまでは同様の結晶構造をルブレン以外の分子で実現することは困難であった。チエノアセン系分子は通常herringbone型の結晶構造を与えることが知られているが、我々は同分子系の特定の位置にメチルチオ基を導入することで、ルブレン型結晶構造が選択的に得られることを見出した。更に単結晶有機トランジスタによりキャリア移動度を評価したところ、ルブレン型結晶構造をもつチエノアセン系有機半導体は対応するherringbone型のものよりも高い移動度を示すことを確認した。中でもπ電子系を拡張したアントラジチオフェン系ではルブレンと同等の高移動度を示すことが明らかとなり、本分子修飾法が高移動度有機半導体開発において有用であることを見出した。

図

チエノアセン系有機半導体の結晶構造制御

メンバー一覧

瀧宮 和男 Kazuo Takimiya

チームリーダー takimiya[at]riken.jp

Barun Dhara

研究員

澤本 尚典 Masanori Sawamoto

特別研究員

Kirill Bulgarevich

特別研究員

実松 春樹 Haruki Sanematsu

特別研究員

Jisoo Shin

客員研究員

川畑 公輔 Kohsuke Kawabata

客員研究員

堀内 信吾 Shingo Horiuchi

研修生

主要論文

  1. K. Bulgarevich, S. Horiuchi, T. Ogaki, and K. Takimiya

    1,3,6,8-Tetrakis(methylchalcogeno)pyrenes: Effects of Chalcogen Atoms on the Crystal Structure and Transport Properties

    Chem. Mater. 34, 6606–6616 (2022)
  2. K. Takimiya, K. Bulgarevich, S. Horiuchi, A. Sato and K. Kawabata

    Bandlike versus Temperature-IndependentCarrier Transport in IsomericDiphenyldinaphtho 23-b:2 ‘3 ‘-f thieno 32-b thiophenes br

    ACS Mater. Lett. 4, 675-681 (2022)
  3. K. Takimiya, K. Bulgarevich, M. Abbas, S. Horiuchi, T. Ogaki, K. Kawabata and A. Ablat

    Manipulation of Crystal Structure by Methylthiolation Enabling Ultrahigh Mobility in a Pyrene-Based Molecular Semiconductor

    Adv. Mater. 33, 2102914 (2021)
  4. Y. Wang, and K. Takimiya

    Naphthodithiophenediimide-Bithiopheneimide Copolymers for High-Performance n-Type Organic Thermoelectrics: Significant Impact of Backbone Orientation on Conductivity and Thermoelectric Performance

    Adv. Mater. 32, 2002060 (2020)
  5. C. Wang, D. Hashizume, M. Nakano, T. Ogaki, H. Takenaka, K. Kawabata, and K. Takimiya

    “Disrupt and Induce” Intermolecular Interactions to Rationally Design Organic Semiconductor Crystals: from Herringbone to Rubrene-like Pitched π-Stack

    Chem. Sci. 11, 1573 (2020)

研究紹介記事