創発スピントロニクス研究チーム
主宰者
- 主宰者名
- 齊藤 英治 Eiji Saitoh
- 学位
- 博士（工学）
- 役職
- チームディレクター
- 略歴
2001 東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻 博士課程修了 2001 慶應義塾大学理工学部物理学科 助手 2006 慶應義塾大学理工学部物理情報工学科 専任講師 2009 東北大学金属材料研究所 教授 2012 東北大学原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR) （現 東北大学材料科学高等研究所） 教授 2018 東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻 教授 （現職） 2023 理化学研究所 創発物性科学研究センター 創発スピントロニクス研究チーム チームリーダー （現職）
研究室概要
当研究チームでは、ナノスケールで形状制御された磁性体、無機及び有機半導体、超伝導体の複合構造における様々な量子スピントロニクス現象について研究を行っています。量子スピンダイナミクス、スピン伝導、そしてスピンと巨視的秩序との相互作用に焦点を当て、輸送物性測定、光物性測定、超低温マイクロ波分光などの手法を用いた実験を進めています。この研究を通じて、スピントロニクスを量子領域に拡張し、基礎物理の体系を構築するとともに、情報処理やエネルギー変換への応用を目指しています。
研究分野
物理学、工学、材料科学
キーワード
スピントロニクス
エネルギー変換
量子デバイス
量子情報処理
機械学習物理
研究紹介
スピントロニクスで未来の量子デバイス原理を創る
量子スピントロニクスの学理は、革新的テバイス実現のための重要な指導原理である。電子のスピン自由度と凝縮体の有する多様な自由度との相互作用の物理学を開拓し、応用へとつなげる。ナノ強磁性体の形状効果により強い非線形性を示すスピンダイナミクスは、スクイージング、非線形分岐現象などのエキゾチックな応答を示し、かつスピン流や電圧によって制御することができる。ナノ磁性体で顕著な非線形パラメトリック過程の研究を行い、これを利用したスピンの集団励起の非線形領域及び量子領域を開拓する。特に、量子スクイーズされたマグノン（スピン波）は、強い非線型性と高いコヒーレンスが両立した量子情報担体であり、量子情報エレクトロニクスや量子センサー（磁場センサー、熱及び熱揺らぎセンサーなど）などへの応用が期待できる。また、熱的スクイージングされたマグノンは熱制御デバイスや発電デバイスへの応用も期待できる。更に、凝縮体においては強磁性秩序以外にも、多様な秩序相が存在し、電流・スピン流と結合すると期待できる。当グループの有するスピントロニクス物性測定技術を駆使し、この結合がもたらす新しい物性科学領域も開拓する。
ナノ磁性体パラメトロン
メンバー一覧
齊藤 英治 Eiji Saitoh |
チームディレクター | eiji.saitoh[at]riken.jp | |
|---|---|---|---|
巻内 崇彦 Takahiko Makiuchi |
研究員 | ||
Geil Emdi |
特別研究員 | ||
日置 友智 Tomosato Hioki |
客員研究員 | ||
有沢 洋希 Hiroki Arisawa |
客員研究員 | ||
横井 直人 Naoto Yokoi |
客員研究員 | ||
Alexey Kaverzin |
客員研究員 | ||
星 幸治郎 Koujiro Hoshi |
客員研究員 |
主要論文
- T. Makiuchi, T. Hioki, H. Shimizu, K. Hoshi, M. Elyasi, K. Yamamoto, N. Yokoi, A. A. Serga, B. Hillebrands, G. E. W. Bauer, and E. Saitoh
Nat. Mater. 23, 627–632 (2024)Persistent magnetic coherence in magnets
- S. Daimon, K. Tsunekawa, S. Kawakami, T. Kikkawa, R. Ramos, K. Oyanagi, T. Ohtsuki, and E. Saitoh,
Nat. Commun. 13, 3160 (2022)Deciphering quantum fingerprints in electric conductance
- H. Arisawa, H. Shim, S. Daimon, T. Kikkawa, Y. Oikawa, S. Takahashi, T. Ono and, E. Saitoh
Nat. Commun. 13, 2440 (2022)Observation of spin-current striction in a magnet
- T. Kikkawa, D. Reitz, H. Ito, T. Makiuchi, T. Sugimoto, K. Tsunekawa, S. Daimon, K. Oyanagi, R. Ramos, S. Takahashi, Y. Shiomi, Y. Tserkovnyak, and E. Saitoh,
Nat. Commun. 12, 4336 (2021)Observation of nuclear-spin Seebeck effect
- Y. Shiomi, J. Lustikova, S. Watanabe, D. Hirobe, S. Takahashi, and E. Saitoh
Nat. Phys. 15, 22–26 (2018)Spin pumping from nuclear spin waves
- K. Uchida, S. Daimon, R. Iguchi, and E. Saitoh,
Nature 558, 95–99 (2018)Observation of anisotropic magneto-Peltier effect in nickel