低次元量子デバイス研究ユニット

主宰者

主宰者名 島﨑 佑也 Yuya Shimazaki
役職 ユニットリーダー
略歴
2016 東京大学大学院工学系研究科 博士課程修了
2016 東京大学大学院工学系研究科 特任研究員
2017 スイス チューリッヒ工科大学 量子フォトニクスグループ博士研究員
2021 理化学研究所 創発物性科学研究センター 量子電子デバイス研究チーム 研究員
2024 東京大学大学院工学系研究科附属量子相エレクトロニクス研究センター 特任准教授 (現職)
2024 理化学研究所 創発物性科学研究センター 統合物性科学研究プログラム 低次元量子デバイス研究ユニット ユニットリーダー (現職)

研究室概要

当ユニットは、2次元物質を中心とした低次元材料を基軸に、結晶格子のモアレ干渉効果や半導体微細加工による低次元構造を利用した新規量子デバイスにおける物理の開拓を行う。特に半導体モアレ超格子における量子多体物性・量子デバイス物理を、電気制御と光励起によるプローブ・制御を通じて明らかにする。層状化合物のバルク単結晶を出発点として、2次元物質のヘテロ構造作製、デバイス化、極低温での電気制御・光学測定・電気伝導測定、必要となる装置やソフトウェアの開発まで一貫して研究を行う。

研究分野

物理学、工学、材料科学

キーワード

2次元物質
ナノデバイス
スペクトロスコピー
強相関電子系
凝縮系物理学

研究紹介

半導体モアレ格子の電気制御と励起子センシング

原子レベルの厚さの2次元物質は、重ね合わせることにより新しい機能性を付加することができる。周期の近い2次元物質結晶を重ね合わせると、モアレ干渉により元の結晶の周期性よりも長い10ナノメートル程度の周期的なナノ構造を作り出すことができる。半導体2次元物質である遷移金属ダイカルコゲナイドを利用することで、このモアレ格子中の電子を電気制御、光検出することが可能である。我々は高品質なヘテロ構造を作製することで、これまでにこのような電気制御された半導体モアレ格子において、強い電子相関から生じる絶縁状態を実現することに成功した。特に励起子遷移をセンサーとして利用することで、特異な層間の電荷移動の振る舞いや電荷秩序の形成を光学的に検出することに成功している。またモアレ格子中の正孔のトンネル結合状態の電気制御と光検出、励起子の混成状態の電気制御、電気制御によるフェッシュバッハ共鳴など様々な制御方式を確立してきた。このような制御性の高い半導体モアレ格子は、量子物性のシミュレータとしての活用が大いに期待される。

(a) 2次元物質結晶のモアレ干渉による超格子(モアレ格子) (b) 半導体モアレ格子中の強相関電子状態と励起子によるセンシング (c) 励起子の混成状態の電気制御 (d) 電気制御による励起子と正孔のフェッシュバッハ共鳴

メンバー一覧

島﨑 佑也 Yuya Shimazaki

ユニットリーダー yuya.shimazaki[at]riken.jp

主要論文

  1. A. Popert, Y. Shimazaki, M. Kroner, K. Watanabe, T. Taniguchi, A. Imamoglu, and T. Smolenski

    Optical Sensing of Fractional Quantum Hall Effect in Graphene

    Nano Lett. 22, 7363–7369 (2022)
  2. I. Schwartz, Y. Shimazaki, C. Kuhlenkamp, K. Watanabe, T. Taniguchi, M. Kroner, and A. Imamoglu

    Electrically tunable Feshbach resonances in twisted bilayer semiconductors

    Science 374, 336 (2021)
  3. T. Smoleński, P. E. Dolgirev, C. Kuhlenkamp, A. Popert, Y. Shimazaki, P. Back, X. Lu, M. Kroner, K. Watanabe, T. Taniguchi, I. Esterlis, E. Demler and A. Imamoğlu

    Signatures of Wigner crystal of electrons in a monolayer semiconductor

    Nature 595, 53 (2021)
  4. Y. Shimazaki, C. Kuhlenkamp, I. Schwartz, T. Smolenski, K. Watanabe, T. Taniguchi, M. Kroner, R. Schmidt, M. Knap, and A. Imamoglu

    Optical Signatures of Periodic Charge Distribution in a Mott-like Correlated Insulator State

    Phys. Rev. X 11, 021027 (2021)
  5. Y. Shimazaki, I. Schwartz, K. Watanabe, T. Taniguchi, M. Kroner and A. Imamoglu

    Strongly correlated electrons and hybrid excitons in a moiré heterostructure

    Nature 580, 472 (2020)
  6. Y. Shimazaki, M. Yamamoto, I. V. Borzenets, K. Watanabe, T. Taniguchi, and S. Tarucha

    Generation and detection of pure valley current by electrically induced Berry curvature in bilayer graphene

    Nat. Phys. 11, 1032 (2015)

お問い合わせ

〒351-0198

埼玉県和光市広沢2-1

E-mail:
yuya.shimazaki[at]riken.jp

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