ソフトマター物性研究チーム

主宰者

主宰者名 荒岡 史人 Fumito Araoka
学位 博士(工学)
役職 チームリーダー
略歴
2003東京工業大学大学院理工学研究科有機・高分子物質専攻 博士課程修了
2003ベルギー・ルーバンカトリック大学 博士研究員
2005東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 博士研究員
2006東京工業大学大学院理工学研究科 有機・高分子物質専攻 博士研究員
2007同 助教
2013理化学研究所 創発物性科学研究センター 統合物性科学研究プログラム ソフトマター物性研究ユニット ユニットリーダー
2018同 創発物性科学研究センター ソフトマター物性研究チーム チームリーダー (現職)

研究室概要

当チームでは、高分子材料や液晶をはじめとしたソフトマターのメソスコピックスケールにおける構造多様性に由来する物理・物性とその操作、そして光・電子デバイスや化学機能材料へと発展させるための研究を行っている。こうした構造多様性の本質は分子や分子集合体の自己組織化性にあるが、液晶のように程よい流動性を併せ持っている場合には、電場や磁場、光などの外場印加、あるいは界面の修飾などによりポテンシャル曲面を変化させることで、比較的容易に多様構造の選択・操作が可能となり、これにより極性構造やキラリティ、誘電周期構造といった、オプトロニクスを中心とした応用へ繋がる機能マテリアルを得ることができる。我々は、こうした構造・物性制御に加え、非線形光学測定・イメージングなどを得意とし、主な解析ツールとしている。
具体的には、1.新規液晶性強誘電体における物理機構解明とデバイス創製、2.自己組織化による巨視的キラリティ発現のメカニズム、コントロールと応用、3.カラムナー液晶のよる自己組織化性を切り口とした光・電子デバイスにおける物理機構の探索、などを行っている。

研究分野

有機材料機能物性

キーワード

液晶・高分子
ソフトマター物性測定
光物性
有機非線形光学
有機強誘電体

研究紹介

キラルネマチック液晶エマルションにおけるトポロジー依存・高効率レーマン回転の発見

キラルな液晶に熱勾配を印加すると、キラリティに対応した一方向に液晶が流動回転する現象が見られる。古くドイツの科学者レーマンにより見出された「レーマン回転」と呼ばれるこの現象については、発見からおよそ100年が経つにもかかわらず、完全な理解には至っていない。一方で、液晶におけるトポロジーは連続体における普遍的な特異(欠陥)点の性質として古くから知られており、各種複雑系の典型的な物理モデルとして基本的理解を行う上で重要であると考えられてきている。本研究で我々は、キラル液晶をフッ素溶媒中に分散させたエマルションでレーマン回転を発生させることに成功した。エマルション中に形成される液滴はトポロジー多様性を示し、その大きさやキラリティの強さによって異なるトポロジー状態に分別できる。本研究で実現されたレーマン回転では、こうしたトポロジー状態に熱-運動変換効率が依存する。この結果は、長年物理学者達を悩ませてきたレーマン回転そのものの理解に繋がるだけでなく、トポロジーの介在する物理現象として基礎科学的に興味深いものである。

(A) キラル液晶エマルションのトポロジカル多様性、(B) トポロジーに依存したレーマン回転の様子

メンバー一覧

荒岡 史人 Fumito Araoka

チームリーダー fumito.araoka[at]riken.jp R

西川 浩矢 Hiroya Nishikawa

特別研究員

野間 大史 Taishi Noma

特別研究員

岡田 大地 Daichi Okada

特別研究員

主要論文

  1. J. Yoshioka, and F. Araoka

    Topology-dependent self-structure mediation and efficient energy conversion in heat-flux-driven rotors of cholesteric droplets

    Nat. Commun. 9, 432 (2018)
  2. S. Aya, and F. Araoka

    Anomalous temperature-dependent anchoring in liquid Crystals mediated by thermodynamic smectic wetting sheets

    Appl. Phys. Lett. 111, 201604 (2017)
  3. K. V. Le, H. Takezoe, and F. Araoka

    Chiral Superstructure Mesophases of Achiral Bent-Shaped Molecules – Hierarchical Chirality Amplification and Physical Properties

    Adv. Mater. 29, 1602737 (2017)
  4. F. Araoka, M. Isoda, D. Miyajima, I. Seo, M. Oh-e, T. Aida, and H. Takezoe

    Polar Dynamics at a Functional Group Level: Infrared-Visible Sum-Frequency Generation Study on Polar Columnar Liquid Crystals

    Adv. Electron. Mater. 3, 1600503 (2017)
  5. Y. Sasaki, V. S. R. Jampani, C. Tanaka, N. Sakurai, S. Sakane, K. V. Le, F. Araoka, and H. Orihara

    Large-scale self-organization of reconfigurable topological defect networks in nematic liquid Crystals

    Nat. Commun. 7, 13238 (2016)

研究紹介記事