量子ナノ磁性研究チーム

主宰者

主宰者名 大谷 義近 Yoshichika Otani
学位 理学博士
役職 チームリーダー
略歴
1989 慶應義塾大学大学院理工学研究科物理学専攻 博士課程修了
1989 アイルランド ダブリン大学トリニティーカレッジ 博士研究員
1991 フランス CNRS ルイ・ネール磁性物理研究所 研究員
1992 慶應義塾大学理工学部物理学科 助手
1995 東北大学工学部材料物性学科 助教授
2001 理化学研究所 量子ナノ磁性研究チーム チームリーダー
2004 東京大学物性研究所ナノスケール物性研究部門 教授(現職)
2013 理化学研究所 創発物性科学研究センター 量子情報エレクトロニクス部門 量子ナノ磁性研究チーム チームリーダー (現職)

研究室概要

当チームでは、金属・半導体・絶縁体・高分子から成るナノトンネル接合や磁性体/非磁性体複合ナノ構造体を作製し、スピン流(スピン波や伝導電子スピン等のスピン角運動量の輸送現象)や軌道流(電子の軌道自由度の流れ)を媒介して生じる磁壁移動や磁化ダイナミクスの量子的振る舞いに関する研究を行っている。特に、電子スピン、マグノン、フォノン等の準粒子間の角運動量変換(スピン変換)や結合機構を理解すると共に、その高効率化に取り組む。さらに、基本原理である交換相互作用あるいはスピン軌道相互作用等を通じてスピン変換を制御・操作する新奇な手法を開発し、革新的なエネルギーハーベスティングに資する省電力スピントロニクス素子の実現を目指す。

研究分野

物理学、工学、材料科学

キーワード

ナノ磁性
スピントロニクス
スピン流
スピンホール効果
エデルシュタイン効果
マグノン-フォノンカップリング

研究紹介

新奇スピントロニクスデバイスの実現をめざして

―力学回転を用いたスピン-電流変換―

スピントロニクスのキーコンセプトであるスピン変換は、電気、光、音、振動、熱の間の様々な興味深いスピンを介したナノスケールでの相互変換現象の総称である。その中でも、スピンと機械振動の相互作用の解明はあまり研究されておらず、喫緊の課題である。当グループでは、この問題に取り組み、スピンを媒介して機械的振動から電流への変換を行う新しいハイブリッドデバイスの実現可能性を実証した。強磁性層に表面弾性波(SAW)を照射すると周期的な弾性変形が起こり、強磁性共鳴(FMR)のような歳差運動の磁化ダイナミクスが誘起され、隣接する非磁性層へスピン流が発生する。SAWと磁性層との結合はさらに興味深い効果をもたらす。我々は、磁化が格子の回転運動と結合する機構である磁気回転結合により、SAWの減衰に非相反が生じることを実証した(図参照)。100%の非相反性が達成され、磁気音響整流器などの応用展開への可能性を示した。また、非相反性だけでなく、音響キャビティを素子化することでマグノン-フォノン結合を強結合領域まで高めることにも挑戦している。

図

磁気回転結合の模式図。SAWは、伝搬方向に依存して時計回りまたは反時計回りの回転運動を格子に誘起する(図中の青と赤の向きのサイクルで示されるように)。この回転運動は、磁気異方性の変化を通じて磁化と結合し、回転する有効磁場を生じる。この有効磁場は、磁化の歳差運動を抑制または増強し(紫のコーン)、その結果、SAWに非相反減衰を引き起こす。

メンバー一覧

大谷 義近 Yoshichika Otani

チームリーダー yotani[at]riken.jp R

近藤 浩太 Kouta Kondou

上級研究員

Junyeon Kim

研究員

Jorge Luis Puebla Nunez

研究員

Thomas Patrick Lyons

訪問研究員

Mingxing Wu

研修生

Yunyoung Hwang

大学院生リサーチ・アソシエイト

Handa Wang

研修生

Liyang Liao

研修生

Anjan Barman

客員研究員

横内 智行 Tomoyuki Yokouchi

客員研究員

福間 康裕 Yasuhiro Fukuma

客員研究員

主要論文

  1. K. Kondou, H. Chen, T. Tomita, M. Ikhlas, T. Higo, A. H. MacDonald, S. Nakatsuji, and Y. Otani

    Giant field-like torque by the out-of-plane magnetic spin Hall effect in a topological antiferromagnet

    Nat. Commun. 12, 6491 (2021)
  2. J. Kim, D Go, H. Tsai, D. Jo, K. Kondou, H-W Lee, and Y. Otani

    Nontrivial torque generation by orbital angular momentum injection in ferromagnetic-metal/Cu/Al2O3 trilayers

    Phys. Rev. B 103, L020407 (2021)
  3. M. Xu, K. Yamamoto, J. Puebla, K. Baumgaertl, B. Rana, K. Miura, H. Takahashi, D. Grundler, S. Maekawa, and Y. Otani

    Nonreciprocal surface acoustic wave propagation via magneto-rotation coupling

    Sci. Adv. 6, eabb1724 (2020)
  4. Y. Hwang, J. Puebla, M. Xu, A. Lagarrigue, K. Kondou, and Y. Otani

    Enhancement of acoustic spin pumping by acoustic distributed Bragg reflector cavity

    Appl. Phys. Lett. 116, 252404 (2020)
  5. M. Xu, J. Puebla, F. Auvray, B. Rana, K. Kondou, and Y. Otani

    Inverse Edelstein effect induced by magnon-phonon coupling

    Phys. Rev. B 97, 180301 (2018)

研究紹介記事