強相関量子構造研究グループ

主宰者

主宰者名 有馬 孝尚 Takahisa Arima
学位 博士(理学)
役職 グループディレクター
略歴
1988 東レ株式会社
1991 東京大学理学部 助手
1994 東京大学 博士(理学)取得
1995 東京大学工学系研究科 助手
1995 筑波大学物質工学系 助教授
2001 ERATO十倉スピン超構造プロジェクト グループリーダー(-2006)
2004 東北大学多元物質科学研究所 教授
2011 東京大学新領域創成科学研究科 教授(現職)
2007 理化学研究所 放射光科学総合研究センター 量子秩序研究グループ スピン秩序研究チーム チームリーダー
2013 理化学研究所 創発物性科学研究センター 強相関物理部門 強相関量子構造研究チーム チームリーダー
2023 理化学研究所 創発物性科学研究センター 副センター長
2023 理化学研究所 創発物性科学研究センター 強相関量子構造研究グループ グループディレクター(現職)
2024 理化学研究所 創発物性科学研究センター センター長 (現職)

研究室概要

当チームは、強相関電子系物質における様々な創発物性の起源を原子レベルで明らかにする構造物性研究を行う。強相関電子系物質を舞台としたエネルギーや情報の変換には、物質中の原子、電子密度、電子スピン密度の空間分布と時間・空間の4次元空間における揺らぎが密接に関連している。これらの情報を得るために、単結晶、粉末、デバイスなどのさまざまな形態の試料に対して、主に放射光X線・中性子・高エネルギー電子などの量子ビームを用いた各種の散乱・分光・イメージングの手法による研究を行う。さらに、必要に応じて、新たな測定手法の開発や、測定の高度化も行う。

研究分野

材料科学、物理学

キーワード

X線散乱
中性子散乱
電子線回折
構造物性
イメージング

研究紹介

マルチフェロイクY型六方晶フェライトのスピン起源強誘電性と電気マグノン

Y型六方晶フェライトは、スピネル型フェライトのブロック層と六方ペロブスカイト型フェライトのブロック層を交互に積層した構造を有し、各ブロックの磁気異方性やブロック間の実効的な磁気相互作用は組成に依存する。その結果、温度と磁場をパラメータとして、様々な磁気秩序が出現する。特に、横滑り型の円錐磁性と二重ファン磁性の二種類の磁気秩序が逆ジャロシンスキー守谷型の機構によって電気分極を併せ持つことが予想される。我々は、BaSrCo2Fe11AlO22の磁化、電気分極、スピン偏極中性子散乱を測定し、ゼロ磁場条件で冷却した場合は交替型縦滑り円錐磁性が生じるものの、低温でc軸に垂直な方向に一度磁場を印加して再度ゼロ磁場にした場合は、二重ファン磁性が現れることを見出した。それに伴ってc軸とも磁場とも垂直な方向に電気分極が現れる。この電気分極は磁場を正負に掃引することによって繰り返し反転することができる。また、スピン偏極中性子非弾性散乱の測定により、二重ファン磁性相と交替型縦滑り円錐磁性相の双方で、テラヘルツ振動電場によるスピン波の励起(電気マグノン)が予測される。

Y型六方晶フェライトBaSrCo2Fe11AlO22における磁場誘起電気分極反転と磁気秩序の変化

 

メンバー一覧

有馬 孝尚 Takahisa Arima

グループディレクター takahisa.arima[at]riken.jp

Kamini Gautam

特別研究員

加倉井 和久 Kazuhisa Kakurai

客員主管研究員

山﨑 裕一 Yuichi Yamasaki

客員主管研究員

澤 博 Hiroshi Sawa

客員研究員

佐賀山 基 Hajime Sagayama

客員研究員

中島 多朗 Taro Nakajima

客員研究員

車地 崇 Takashi Kurumaji

客員研究員

鬼頭 俊介 Shunsuke Kito

客員研究員

厳 正輝 Masaki Gen

客員研究員

主要論文

  1. M. Gen, H. Ishikawa, A. Miyake, T. Yajima, H. O. Jeschke, H. Sagayama, A. Ikeda, Y. H. Matsuda, K. Kindo, M. Tokunaga, Y. Kohama, T. Kurumaji, Y. Tokunaga, T. Arima

    Breathing pyrochlore magnet CuGaCr4S8: Magnetic, thermodynamic, and dielectric properties

    Phys. Rev. Mater. 7, 104404 (2023)
  2. S. Kitou, M. Gen, Y. Nakamura, K. Sugimoto, Y. Tokunaga, S. Ishiwata, and T.-h. Arima

    Real-Space Observation of Ligand Hole State in Cubic Perovskite SrFeO3

    Adv. Sci. 10, 2302839 (2023)
  3. T. Nakajima, T. Oda, M. Hino, H. Endo, K. Ohishi, K. Kakurai, A. Kikkawa, Y. Taguchi, Y. Tokura, T. Arima

    Crystallization of magnetic skyrmions in MnSi investigated by neutron spin echo spectroscopy

    Phys. Rev. Research 2, 043393 (2020)
  4. V. Ukleev, Y. Yamasaki, O. Utesov, K. Shibata, N. Kanazawa, N. Jaouen, H. Nakao, Y. Tokura, and T.-h. Arima

    Metastable solitonic states in the strained itinerant helimagnet FeGe

    Phys. Rev. B 102, 014416 (2020)
  5. S. Gao, D. Hirai, H. Sagayama, H. Ohsumi, Z. Hiroi, and T.-h. Arima

    Antiferromagnetic long-range order in the 5d1 double-perovskite Sr2MgReO6

    Phys. Rev. B 101, 220412 (2020)

研究紹介記事