トポロジカル材料設計研究ユニット

主宰者

主宰者名 平山 元昭 Motoaki Hirayama
学位 博士(工学)
役職 ユニットリーダー
略歴
2013 東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻 博士課程修了
2013 産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 相関材料シミュレーショングループ 特別研究員
2015 東京工業大学大学院理工学研究科 物性物理学専攻 特任助教
2017 理化学研究所 創発物性科学研究センター 計算物質科学研究チーム 研究員
2020 同 統合物性科学研究プログラム トポロジカル材料設計研究ユニット ユニットリーダー(現職)
2020 東京大学大学院工学系研究科附属量子相エレクトロニクス研究センター 特任准教授(現職)

研究室概要

当ユニットでは、現実物質に即した数値計算手法である第一原理計算を用いて、新奇物質とその物性の開拓を行う。特に電子のバンド構造における幾何学的性質に着目し、非自明な物性を発現するトポロジカル物質の探索に焦点を当て、その特異な電子状態の生む物性や応用を検討する。電子系としては超伝導状態なども対象とし、量子計算を見据えたマヨラナフェルミオンの創発を提案する。また、相関効果を第一原理的に取り扱う手法を開発し、強相関電子系や磁性材料系を含めた幅広い電子系の物質デザインを行う。当ユニットではさらに、電子化物などの化学・材料分野の物質も対象に含め、広い科学領域に跨る材料設計を行う。

研究分野

物理学、材料科学

キーワード

第一原理計算
理論物質設計
トポロジカル物質
マヨラナフェルミオン・パラフェルミオン
スピン-軌道相互作用

研究紹介

トポロジカル物質の新たな舞台としての電子化物

当ユニットでは、トポロジカル物質の新たな物質系の1つとして電子化物を提案した。電子化物とは、結晶中の空隙に電子eが入り込み、アニオンとして構造の安定化を担っている物質群で、小さな仕事関数を持つことから触媒等の分野で研究が進んでいる。例えば、層状物質Sc2C (図(a))では、層と層の間の空隙に電子が入り込み、図(b)のようにバンド絶縁性を示す。この[Sc2C]2+2eの電荷密度はアニオン電子2eのためにSc2C層から大きくずれた層間の位置に広がっており、量子化された巨大な分極を有する幾何学的に非自明な系となっている。バルクのトポロジーを反映し、Sc2C表面では幾何学的に保護された金属状態が出現する(図(c))。表面の金属状態は空隙起源のため、Sc2C表面の上に宙に浮かんで出現する(図(d))。この原子に局在していない電子雲は小さな仕事関数を持つため、Sc2Cを基板として用いることで、表面載せた物質に対して高密度の電子ドーピングを行うことが可能になる。例えばMoS2に対してはMo 1サイトあたり1電子のドープが可能となる(図(e))。相対論的な量子相を含め、当ユニットでは様々なトポロジカル電子化物を発見しており、科学分野を横断したトポロジカル物性の開拓が期待される。

(a) トポロジカル電子化物[Sc2C]2+2eの結晶構造,(b) Sc2Cのバンド構造,(c) Sc2C (111)表面のバンド構造,(d) 宙に浮かんだトポロジカル表面状態, (e) MoS2に注入されたトポロジカル電荷

メンバー一覧

平山 元昭 Motoaki Hirayama

ユニットリーダー motoaki.hirayama[at]riken.jp

主要論文

  1. T. Yu, R. Arita, and M. Hirayama

    Interstitial-Electron-Induced Topological Molecular Crystals

    Adv. Phys. Res. 2, 2200041 (2022)
  2. M. Hirayama, T. Tadano, Y. Nomura, and R. Arita

    Materials design of dynamically stable d9 layered nickelates

    Phys. Rev. B 101, 75107 (2020)
  3. M. Hirayama, S. Matsuishi, H. Hosono, and S. Murakami

    Electrides as a New Platform of Topological Materials

    Phys. Rev. X 8, 031067 (2018)
  4. M. Hirayama, R. Okugawa, T. Miyake, and S. Murakami

    Topological Dirac nodal lines and surface charges in fcc alkaline earth metals

    Nat. Commun. 8, 14022 (2017)
  5. M. Hirayama, R. Okugawa, S. Ishibashi, S. Murakami, and T. Miyake

    Weyl Node and Spin Texture in Trigonal Tellurium and Selenium

    Phys. Rev. Lett. 114, 206401 (2015)

お問い合わせ

〒351-0198

埼玉県和光市広沢2-1 研究本館149

TEL:048-462-1111 (ext. 3168)

E-mail:
motoaki.hirayama[at]riken.jp

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