トポロジカル物性理論研究チーム

主宰者

主宰者名
村上 修一 Shuichi Murakami
役職
チームディレクター
略歴
1995 東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻 助手
1999 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 博士学位取得
1999 スタンフォード大学物理学科 客員研究員(兼任)
2007 東京工業大学大学院理工学研究科物性物理学専攻 准教授 
2007 科学技術振興機構 さきがけ研究員(兼任)
2012 東京工業大学大学院理工学研究科物性物理学専攻 教授
2016 東京工業大学元素戦略研究センター 教授
2024 東京科学大学理学院物理学系 教授(大学合併による大学名称変更)
2024 広島大学持続可能性に寄与するキラルノット超物質拠点 特任教授(現職)
2025 東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻 教授 (現職)
2025 理化学研究所創発物性科学研究センター トポロジカル物性理論研究チーム チームリーダー(現職)

研究室概要

当チームでは、物質中の電子や準粒子、メタマテリアル中の波動などについて、トポロジカルな構造に着目し創発物性現象の理論研究を行っている。研究手法は主に模型を用いた解析的手法であり、量子系から古典系まで多様な系での物性現象を俯瞰的に眺めながら、普遍的な法則や現象を見出す。具体的な物質に即した研究から、物性理論の枠組みを構築する研究、数理物理的な研究まで幅広く研究を行っている。具体的には、トポロジカル相、カイラルフォノン、電気磁気多極子、非エルミート系、メタマテリアル等での古典的波動に関するトポロジーと幾何学的位相などについて、基礎理論の構築と新規物性探索に取り組んでいる。

研究分野

物理学/材料科学

キーワード

トポロジカル絶縁体
スピントロニクス
トポロジカル半金属

研究紹介

カイラルフォノンによる創発物性の理論

フォノンとは結晶中の原子の振動を量子化したものであるが、物質によってはこのフォノンは回転運動を伴う。このようなフォノンはカイラルフォノンなどと呼ばれる。例えば、テルルのようなキラルな結晶構造を持つ系では、フォノンはカイラルフォノンとなっており、角運動量を伴う。我々は、こうしたフォノンの角運動量に関連する新しい現象を理論的に研究している。例えば我々は、対称性の低い結晶においては、結晶に温度勾配を作るとカイラルフォノンを誘起することを理論的に提案した。さらに我々は、フォノンの角運動量が電子スピンと同じ対称性を持つことに着目し、電子系でのカイラルフォノンがスピン磁化を引き起こすことを理論的に示した。この現象は、カイラルフォノンによる電子状態の動的変調によって引き起こされ、その変調が幾何学的位相(ベリー位相)を獲得しスピン偏極を誘起する。さらに、強磁性体や反強磁性体などの局在スピン系においては、カイラルフォノンがマグノン励起の変化を引き起こすことを発見した。これらのことは、カイラルフォノンが電子やマグノンの有効磁場として機能することを示している。

Murakami Team Fig.

カイラルフォノンによるスピン磁化誘起

 

メンバー一覧

村上 修一 Shuichi Murakami

チームディレクター shuichi.murakami[at]riken.jp

お問い合わせ

E-mail:
shuichi.murakami[at]riken.jp